左官の始まり シート作業その1の終わり

隠居屋南側の左官が始まる。「どうせなら上部の左官もやった方がいいんじゃないか?」といった問いに、「もっともな話だ。」とため息が出る。でも、それでは、意図が伝わらないのだ。1930年代という時代を考えてほしい。関東大震災、世界恐慌のパニック、そして第2次世界大戦。100年という時を超えて残ってしまった建築物であればこそ、その時代の空気をも、内包する懐が必要なのだ。

さて主屋西側ではシート張りが午前に終わり、午後、足場の解体が行われた。

足場の木部の解体は、なかなか夜遅くまで続いた。

通常のバラシだと、バンバン切って解体してゆくけど、それができない。ホウキで少し掃くだけで、落ちた土壁が巻き上がり、砂嵐の中での作業となる。

解体は、とっぷり日が暮れた時分に終わった。どこへ旅してきたのかと思う程、体中、砂ほこり。古びた砂の匂いが、正月までにはとれる様、祈るばかりである。

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