隠居家 能登での震災後、ようやくスケジュールの調整を経て、壁面修理に伴う屋根漆喰が施される。南面である為、台風の度に水の浸入が心配された箇所でもある。
壁との取合にピタリと蓋する事によって水の浸入を防ぎながら、かまぼこ状にみえる漆喰を、全体として市松模様に仕立てる根気のいる作業でもあります。
ここでも全取っ替えは敢えてしません。
素材における進歩の様を、ごく自然に拝見したいのである。
そもそも、かような事を喜びとする世界に住まう民と、何でもマッサラが「正しいおもてなし」と解する民とは、到底、理解に隔たりがあるものだ。
塗立てと過去の姿。質感がどうだ、配合がどうだと私にとっては楽しい時であるが、職人たちは今回の能登半島での震災後における一課題、いかに粘りある土質で、壁面を実現するかといった事で…。今日も終わりがないのであった。